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輪島塗とは
ジャパンは輪島
輪島の漆器
漆器は英語でジャパン。ならば日本で漆器は・・・輸島でした。
ちなみにやきものが関東では瀬戸(せと)もの、関西では唐津(からつ)ものと呼ばれるように。
- 輪島塗の特徴をひと息に言えば
- 〈 一 〉 天然素材をもってよしとする。
- 〈 二 〉 地元特産の「地の粉」を使った、しっかりした下地。
- 〈 三 〉 いじめられる端っこを丹念に。布着(ぬのき)せ、地縁引(じぶちび)き。
- 〈 四 〉 堅牢第一の評判をとった本堅地(ほんかたじ)。
- 〈 五 〉 塗り重ねて、ぶ厚いふくらみのある塗り。
- 〈 六 〉 競いあう加飾の技。
- 〈 七 〉 品のよい底艶(そこづや)。
天然素材をもってよしとする。
「自然素材」が輸島ブランド
天然木の木地(きじ)に天然漆を塗る輪島の漆器は、素材が100%ナチュラルであることが第一の特徴。
もうひとつの特徴が、徹底した手加工です。自然の樹木にはそれぞれ個性があります。だから天然木でつくった器体には、ひとつひとつ微妙な癖があります。輪島では手でその癖を理解し、読み取りながら、いとおしんでつくります。そうすると時間が経っても形に狂いが出ません。そのかわり手仕事は時間がかかります。蓋つきの椀(わん)木地で一日せいぜい10〜20個しか作れません。
「本物」を守っていく姿勢
天然漆は環境に敏感です。だから日本では、国産漆がやっぱり塗りやすく、塗って美しく丈大。でも産出量はますます品薄に。その限られた国産漆の多くが輪島で消費されています。
塗師屋(ぬしや)さんが自家用に漆の木を植えはじめたのも、輪島の「本物」を守る姿勢のあらわれです。
地元特産の「地の粉」を使った、しっかりした下地。
見えない下地が大事
布着(ぬのき)せをして補強した上で、輪島で産するすぐれた下地材「地の粉」を用い、一辺地、二辺地、三辺地と下地付けをくりかえし、漆を塗り重ねる、本堅地(ほんかたじ)と呼ぶ工程が、堅牢を第一とする輪島の漆器の信条です。
いじめられる端っこを丹念に。
布着(ぬのき)せ、地縁引(じぶちび)き。
布着(ぬのき)せ、
地縁引(じぶちび)き。
漆器の上縁や底の糸輪のように、傷つきやすいところは下地付けの工程ごとに、生漆(きうるし)を塗る輪島独特の「地縁引(じぶちび)き」をしています。
見えないところの工程の差が、のちのち必ず見えてくる。輪島の職人は、「のちのちの評判」を守ってきたのです。
堅牢第一の評判をとった本堅地(ほんかたじ)。
「堅牢」が輪島の定評
木地の燻煙(くんえん)乾燥、下地付け、塗り重ねといった、本格工程を守る輪島の漆器は、使用頻度の高い寺社や料理屋の食器として「輪島物は堅牢」の定評を得てきました。塗師屋(ぬしや)の方も親の代から子の代に引き継がれています。
同じようにお客さまの方も親の代から子の代へわたって注文をくださる。長いおつきあいの中で「堅牢さ」は立証され、信用をはぐくんできたのです。
塗り重ねて、ぶ厚いふくらみのある塗り。
塗膜が厚い
うるし液は塗って乾いたら、また塗って・・・塗り重ねるほど丈夫な塗膜になります。
輪島の椀木地師Kさんの仕事ぶりを眺めていたら、蓋つき椀の蓋と身のあいだに、ときどきマッチの軸をはさんで、合わせ具合をみてるんです。「輪島もんはナ、塗りが厚いからノウ、マッチの軸は五厘(1.5mm)四角じゃからノウ」蓋と身にそれぞれ0.75mmの塗り厚を見ているのだった。
「よその産地なんは、縫い針がへエルカわからんが見たゾ、おっとこりやオフレコ、オフレコ」。言いすぎも輪島職人の特長。
競いあう加飾の技。
輪島ならではの加飾、
沈金(ちんきん)
蒔絵(まきえ)は、漆器の表面にのせる加飾。沈金(ちんきん)は、漆の塗膜を彫り込んで金銀の箔(はく)や粉を埋める加飾です。
漆の塗厚が十分でなければ、沈金(ちんきん)の深彫りは不可能。まだ硬くなりきらない漆の肌に、刃先で彫った繊細な線画で自在な加飾のできる沈金(ちんきん)は、輪島ならではの技法です。
しっかりした下地に支えられた、厚みのある上塗り、だから彫り込めるのです。
品のよい底艶(そこづや)。
底艶(そこづや)
漆器といえば顔が映るようなツルツル、ピカピカの表面仕上げを想像しがちです。
でも漆の色艶はそれだけではありません。
輪島がこだわっているのは底艶(そこづや)です。光を表面で反射させるのではなく、膜の底に包んではねかえす。
しっとりとした華やぎのある艶。気持ちのなじみこんでいける気品があります。